前回からの続きです。
前回の記事はこちら。
sekasukuでのプロジェクトはこちらになります。
前回の記事ではクラウド(雲、対立解消図)の「前提条件(仮定、アサンプション)」まで作りました。
前回記事を書いたときから前提条件のところを仕様変更をしたので見た目が変わりました。
見た目を薄いオレンジっぽくしたのと、灰色マルをクリックしなくても前提条件のボックスが最初から出るようになっています。
さて、「前提条件(仮定、アサンプション)」とは対立構造(ジレンマ)を成り立たせている言い訳のことでした。
上の図で、薄オレンジ色のボックスの中に書かれているものです。
そして、前記事の最後のあたりで
ところで、理由を読んでみると「イヤまてよ、こうすればどう?」みたいな理由に対するアドバイスのようなものが思い浮かんできませんか?
たとえば、
「A10 会社を発展させる」 ためには 「C10 機械設備を増やしていかなければならない」
なぜなら「現在のシマダ機工は「賃加工」というビジネスモデルなので、会社を発展させるためには粗利MQを上げる必要があり、それは設備の数に比例すると考えている」
についてですが、「そのビジネスモデルにこだわる必要あるの?そのビジネスモデルは神からさずかった天啓ですか?逆らっちゃだめなんですか?現在のリソースを使って別のことやっても全然良いんじゃないですか?」なんて言っちゃっても良いわけです。
このアドバイスのようなものが「インジェクション」です。
他にも言いわけに対して「言い訳すんじゃねぇ。こうすりゃ出来るだろ。甘えてんじゃねぇ。」と言いたいところがいっぱいありますよね?
と書きましたが、今回はこの「インジェクション」を考えていきます。
インジェクションとは何かと言うと、「Injection = 注射」のことです。
病気の生き物にお医者さんが注射をうつというイメージで付けられた名称です。
「ジレンマに陥っている状況に注射を打って治すために、注射の中身のクスリはどういうものにしましょうか」
というのが「インジェクションを考える」ということです。
インジェクションの考えかたは以下のようにしていきます。
インジェクションの考えかたの心構え
(前提条件(仮定、アサンプション)の1つ1つに対して以下のように問いかける)
- この前提条件(仮定)は、本当に存在するのか? 実は言っているだけで存在しないのではないのか?と疑う。
疑って消えるようなものであれば消しても良いし、出てきたからには心に引っかかっているものだと思うので優先順位を下げておく。優先順位を下げた前提条件は、あとで「やっぱり心配、、、」という「障害(心配のタネ)」でもう一度でてくるときに考える。 - 自分が所属している組織や立ち場、環境で考えた場合に、どのような変化を起こせば、この前提条件を無効にすることができるか?を考える。
一般論ではなく、「自分の場合はこうだよね」と自分の置かれている立ち場で考える。 - 「インジェクション=解決アイディアを実現した状態」として考える。
” 対策 ” のような「~をする」という動詞の表現ではなく、” 状態 “ の「~になっている」の表現で考えます。
これから何かをするというのではなく、すでに解決アイディアが実現した状態で表現するのがインジェクションです。
なぜこのようにするかというと、これから何かをすると考えると、「いやそんなことはムリだ、難しい」とか「面倒くさい。。。」とか、「それをやったら ~ が ~ になってしまう、やめてくれ」という抵抗に押しつぶされて良いアイディアが出なくなるからです。
「こんな風に解決アイディアが実現されてますよ、すごく良いと思いませんか?」という感じにすると「そうなったら確かに良いね~」とアイディアがどんどん発展していきます。
心配事はあとでちゃんと解決する方法があるので、この段階では心配しないで良いインジェクションをどんどん考えます。 - なんの制限も持たず、自由にゼロベース思考で考える。
自分は経営者じゃないからこれはできないとか、お金がかかりすぎるからムリだとか、それをやる時間がないとか、そういうことは考えず、制限を取り払って解決アイディアが実現した状態を集中して考えましょう。インジェクションが良ければ賛同者がどんどん集まって、経営者がみずから動いてくれるかもしれないし、お金が集まってくるかもしれないし、自分だけでなくたくさんの人が一斉に取り組んですぐに終わってしまうかもしれません。突飛なアイディアは大歓迎というのがインジェクションです。 - グループで考える(ブレインストーミング)場合は、他の人のアイディアに対する批判は絶対にしない。
「良いアイディアじゃないと恥ずかしい、すごく良いアイディアを言ってやろう」という雰囲気はなにげない小さなアイディアが出てくる可能性を無くしてしまいます。アイディアは良いものでも悪いものでも何でも良いので、とにかく出すのです。出たあとで1つ1つを検証します。 - なんとかして「前提条件(仮定、アサンプション)」が存在できない状態、あるいはジレンマである D と D’ が共存できないかについても知恵を絞る。
- もっとも気に入らない「前提条件(仮定、アサンプション)」から考える。
それはおそらく、 B と D の間の矢印線にある「前提条件(仮定、アサンプション)」ではないかと思います。ここが本当は D’ が理想だけど言いわけがたくさんあってジレンマになっている部分だからです。
この記事で話題になっている工場を借りるか借りないか、の対立解消図(クラウド)の前提条件で例を挙げてみましょう。
前提条件(仮定、アサンプション)の1つ目を例にしてみます。
「工場を借りると15万円/月の家賃の出費が増える」
- 「出費の負担を感じないくらいまでに、家賃をまけてもらっている」
- 「15万円/月の出費が気にならないくらいまでに、収益があがっている」
- 「その工場を買ってしまって家賃ではなく、購入代金として払っている」
- 「他の人に払ってもらって、自分は払っていない」
- 「いまは急いで契約せず、あとまわしにしている」
- 「工場を借りたほうが圧倒的に有利な状況なので、出費が気にならなくなっている」
折角でたので、プロジェクトにインジェクションとして書きこんでおきましょう。
このように、インジェクションはけっこういっぱい出ます。
前提条件(仮定、アサンプション)がいっぱいある場合は、いっぱい考えます。
あとでいっぱいあるインジェクションの中から最も良いものを選び出して、それを「スタートインジェクション」にして問題の解決を図っていきます。
次は、インジェクションについてもっと詳しく説明していきます。
つづく。
本連載の記事リストは、以下になります。
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